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こんにちは、冬子です。冬の子供と書いてトウコと言います。
私は北の大きな都市の外れにある、小さなお家に居候させてもらっている幽霊です。
あけましておめでとうございますと、言うべきかもしれませんね。
年が明けました。新年です。
クリスマスを過ぎてから一気に雪が降り積もったおかげで、北の大地は真っ白になっています。
けれど昨年中に存分に降ったおかげか、年が明けてからは良いお天気です。
年末年始は修也さんも継春くんもご実家に帰られるので私は一人で過ごすのが常なのですが、今年は違います。
なんと継春くんがいるのです。
年末少し早めに里帰りして、大晦日に戻ってきたのです。
ご両親には友達と初詣に行く約束をしたからと言ってきたそうです。
その言葉通り、年が明けた元旦に一緒にご近所の神社に初詣に行きました。
誰かと一緒に――いえ、初詣自体、初めてかもしれません。
生きていたころは寒さと人ごみなんてもっての外でしたし、幽霊になってからも冬場はあまり出歩いていなかったため、お正月の時期に神社に行くということはしたことがなかったように思います。
ものすごく混雑しているわけではないですが、それでもいつもに比べればとてもたくさん人がいます。
継春くんと並んで拝殿に向かって柏手を打ってちゃんと参拝もしました。
幽霊の私なんかがとは思ったのですが、継春くんがそれでもいいじゃないかと言ってくれたので、その言葉に甘えさせてもらいました。
ただ、やはりお願い事をするのははばかられたので、ありがとうという気持ちを込めました。
継春くんと出会えたこと、一緒に色んな所へ行けること、おしゃべりができること。
幽霊ではあるけれども、私がこうして毎日を楽しく過ごせることに。
ありがとうございます。