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低い太陽が新しい日差しを水面に注いでいる。穏やかに揺らめく海原に光は反射して四方へと散って行く。
大きな岩に腰掛けた青年は眩しそうにその海面を眺めていた。片膝を胸に抱え、もう片足は下に垂らしている。つま先だけがわずかに水の中に入っていた。
その彼の周囲には大小さまざまな蜥蜴。じっとして日差しを小さな体一杯に浴びている。内の一匹、彼の最も近い位置にいたものが身じろぎをした。
それに釣られるように彼の視線が海から蜥蜴に移る。
蜥蜴の大きな眼が数度瞬き、軽く頭が傾ぐ。何か、とでも問いかけている様にも見えた。
彼は笑みを浮かべ、指の背でそっと撫でる。
蜥蜴は逃げることもなく、瞼を閉じて大人しくされるがまま。
「新年とか、そんなもの君達には何も関係ないだろうけど……」
誰に聞かせるでもなく、独り言のように彼は言う。
「今年もよろしくね」